空前の宗教ブーム?
昨今、若い女性達の間でパワースポット巡りが流行してるらしい。
TVや雑誌でも良く特集されてるし、自分の観測範囲にもそれを趣味にしてる人がいるから恐らく本当だろう。
最初、私は
「なんだ?そりゃ、御遍路の事か? 菅直人か?」
と思ったが、最近では御遍路を歩いて踏破するガチ勢もいるらしい。
すごいね。空海ガール。
宗教が身近になったのかな と思ったけど
やっぱりお坊さんを見るのはお葬式や法事のときくらいだし、多分違う。
また最近はアニメの舞台になった別の意味の「聖地巡礼」も一大ムーブメントである。
大洗とか。
これら2つの事を
「なんで、そんな敬虔な特定宗教信者みたいなムーブメントしてんの?メッカ巡礼?」
と疑問に思っていた。
その疑問に一つの回答を提示してくれたのが
岡本 亮輔の「聖地巡礼」である。
宗教と観光の超融合
正直な所「ありがてぇ!ありがてぇ!」とか言いながら
寺社に参拝する若者はほぼゼロだと思う。
それなのに何故、寺社等の聖地巡礼するのかと言うと
目的はなんてことない。
要は「観光」である。
考えてみれば、修学旅行で奈良とかに行った際どこに行っただろうか?
行くところの殆どは寺社だったはずだ。
また、世界の小金持ち達が観光の指標にしているユネスコの「世界文化遺産」も
多くは宗教的施設である。
例えば
- 青のドーム
- モンサンミッシェル
- タージマハル
などなど
つまり観光スポットに宗教施設が多いのである。
その理由としては以下が考えられる。
- 権力者が力を見せつける為にそもそも巨大建造物を作る(例:ピラミッド)
- 常時使用している人がいるので手入れされている(例:御寺)
- 維持費の供給源があるので維持出来る。(例:信者からの寄付)
しかし観光したいならスカイツリーでもネズミの国でも良いはず。
何故宗教的施設に行ったり、宗教的イベントに参加する事が一大ムーブメントになっているのか。
教会まで何マイル?
その疑問を解く鍵はサンティアゴ大聖堂というスペインの教会にある。
2000年前のキリストの使徒の一人、聖ヤコブの遺骸が安置されているという
ファンタジーRPG顔負けの施設である。
この教会に行く為には徒歩でスペイン横断800キロ巡礼する必要がある。
要は御遍路の強化版である。
最近この巡礼の参加者は増えているらしい。
800キロも歩いて来るんだからさぞ、すげぇ礼拝するんだろうな
と思うが、ゴールについたらさっさと帰っちゃう人が殆どらしい。
つまり巡礼者の多くにとって、
もはやゴールの教会で聖ヤコブを礼拝することなどどうでもよいのである。
巡礼者が求めているのは何か。
「他人との体験の共有」である。
要は一緒に歩いてきた人や過去に巡礼した人と同じ体験を分かちあいたいのである。
端的にいえばアーティストのライブに行った時の観客の一体感に等しい。
みんな同じ体験を通して他人と繋がり合いたいし、一体感を楽しみたいのである。
そう考えると以下の行為もほぼ目的がそれと一緒と言える。
なんてこった。
アニメとスポーツは宗教だったのか。
↓少なくてもコレは宗教
娯楽と宗教の境界
何故、人間は他人と同じ体験をすると高揚感を得られるのか。
端的に言うと
「同じ体験をした他人を仲間だと思えるから」
が原因であろう。
人間というのは同じ体験をした他人を仲間だと思う社会的機能が備わっている。
つまり仲間だと思った他人をお互い自分自身の一部だと思えるのである。
その体験は人類誕生当初は狩りや共同生活だったりした。
この社会的機能により相互扶助の活性化したり、社会的秩序を保つ事が出来た。
最終的に人間社会全体の生存能力向上に繋がったのだ。
更に人間はこの同じ体験をする事で仲間と感じた他人が多ければ多いほど高揚感が得られる。
人間は「仲間は自分自身の一部」と思えるので、仲間が多いほど自分自身が強くなったように勘違いするのである。
つまり「天空の城ラピュタ」を見て、みんな一斉に「バルス!」とSNSに投稿するのは
一斉に「バルス!」と投稿する事で数千、数万人と同じ体験が出来る
↓
「バルス!」と投稿した他人を仲間だと思う。
↓
仲間が出来て、自分自身が強くなったように勘違いする。
↓
最高にハイになる(高揚感が得られる。)
というカラクリ。
この同じ体験という部分を変えると色々な組織単位になる。
- 日々の習慣、食事 → 民族
- 宗教的戒律 → 宗教の信者
- 新人研修 → 同期の絆
- 授業、行事 → 同級生
- アニメ観賞 → アニメファン
って感じ。
なんてこった。
民族的習慣とアニメは同じだったのか。
何故、共通体験を求めるのか。
最近の若者はインターネットの普及で嗜好が多様化している。
その為、多数の人と共通体験が出来るような場面がかつてに比べて減ったのである。
昔はドラクエが流行したら、クラス全員がドラクエをやって一体感を高める事があった。
今はそんなコンテンツなかなかない。
つまり若者は共通体験できるイベントに飢えているのだ。
だから曲が売れなくなっても人気アーティストのライブは完売だし、
ネットで「おっぱい紐」が流行ったら一斉に絵を描き出したりするのである。
女性のパワースポット巡りやアニメファンの聖地巡礼が流行るのも当然と言える。
この事を考えると世界的にイスラム教に改宗する若者が最近増えているのも
という共通体験が出来るイベントが多くあり、高揚感を得られるのが原因の一つだろう。
なんてこった。
紐バブルとイスラム教改宗者増加の原理は一緒だったのか。