痩せるコーラ

自分が考えている事をまとめます。毎週木曜21時更新(予定)

なぜ山に木が多すぎると土砂崩れが起きるのか

豪雨の被害スゴイですね…

www.asahi.com

この度の未曾有の災害に際し、被災地の皆様にお見舞い申し上げます。

TVで氾濫する川の様子が中継されてて恐怖しかなかった。

川の氾濫もすごかったけど
氾濫以外で大きく取り上げられていた災害があった。

それは土砂災害(通称:土砂崩れ)。

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ヘリコプターとかで崩れた山が多数撮影されてた。

家の裏の山が土砂崩れして家丸ごと飲み込むとか怖すぎでしょ。
大雨のたびに起きてるじゃん。

で、今回の豪雨で発生した土砂崩れを見てこんな人がtwitterにチラホラいた。

「土砂崩れが起きるのは人間が木を伐採しすぎたせいだ!木を植えよう!」

残念ながら、これって大きく間違ってるんだよね。

実は土砂崩れが起きる主な原因は
「日本に木が多すぎる事。」

逆だよ逆。

どういう事なのか?
以下の観点で説明する。

 

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1:現代はもっとも木が多い時代である

先日、原宿にある明治神宮に行った際に

連れ「ここは江戸時代より前の昔ながらの森が残ってるんだね」
ワイ「この森は100年前に荒地に植林して人工的に作られた森やぞ。」
連れ「え…!?」

という事があったが、別にこれは特別な事ではなく
我々が目に触れる森の殆どは人工的に作られた森である。

日本の森の45%は人工的に作られたもの。

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林野庁ホームページ

自然林は白神山地みたいに
人が行くのがめんどくさい所が多いので
線路や幹線道路沿いとか人里に近い林は殆ど人工林。

しかも殆どが戦後に植えられたものである。

「かつての日本には豊かな森が広がっていた。」
これは真っ赤なウソだからね。

なんでかというと
ぶっちゃけ戦前までに人が住むような場所に隣接する林の木は伐採され
殆ど荒地やハゲ山だったから。

明治期の写真とか見ると山に木があまりない。
だって切っちゃったから。

(戦前のハゲ山の写真↓)

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昔は家を建てるにも燃料にするにも木を使っていた。
つまり資源=木材なので人口が増えれば森林破壊と直結した。

しかも製塩、製鉄、窯業すべての産業で燃料として木を使うので加速度的に森林を破壊。

サルこと豊臣秀吉の時代には京都や大阪で消費しすぎて
近畿地方で目ぼしい木材が取れなくなってきていた。

秀吉う~ん。開発しすぎて近畿地方から木がなくなってしまった…どないしよ」
秀吉「せや!森林がまだたくさんある関東地方開発や!
秀吉「でもワイがやるのめんどくさいから家康に任せよ!

家康「ファッ!?」

という成りゆきで徳川家康が関東に転勤になったらしい。

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こうして江戸が出来たわけだが、
その後、100万人都市の江戸を維持するために東日本の木々を伐採。

しかも各藩が開発のために地元の森を伐採。
江戸時代後期には東海道等の五街道沿いの山の大半はハゲ山にされてしまったらしい。

この流れは明治維新後も開発のために20世紀前半まで続き、
人が住むような場所に隣接する林の大半は伐採されてしまった。

戦後、政府がこの事態に変化をもたらす
政府(建前)「このままでは日本の森林が消えてしまう!植林をしよう!」
政府(本音)「燃料も石炭・石油に移ってきてるし、建築に使うやつだけ植えよう!」

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これで人工林が多数できた。
(建築材用にスギばっか植えた事で花粉症を生んだが)

統計的には今が室町以降でもっとも木が多い時代。

人工林が出来た事で以下のような恩恵を得た。

  • 土を根で固めてくれるので土砂災害を防いだ
  • 根で水を蓄えてくれるので洪水を防いだ
  • 海岸での飛砂の被害を防いだ

なんだやっぱ木って土砂崩れを防いでくれるんじゃん!
と思っていたが、50年経った今、事態はそんな単純ではなくなってしまった。

実はこの人工林が今土砂崩れの原因の一つになっている。

 

2:人工林は酷くもろい

なぜ人工林が土砂崩れの原因になってしまったのか?

さっきの
政府(本音)「燃料も石炭・石油に移ってきてるし、建築に使うやつだけ植えよう!」
を思い出してほしい。

つまり欲しい木材は「建築材用の真っ直ぐで太い木材」。

しかし近隣の家の木を思い出してみるとある事に気づく。
「普通に育てたら、木って真っ直ぐにならなくね?」

じゃあどうするかというと
最初から密集させて植えるのだ。

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間伐ホームページ 間伐材 全国森林組合連合会

太陽の光を求めようとすると周りのライバルの木に負けまいと
上へ上へと伸びて成長するというカラクリ。

だけど、密集して植えられているので
このままだと隣合う木と栄養を奪い合って
ヒョロヒョロにしか育たない。

なのである程度、育ってくると間引きをして
立派な材木になるような木を作る。

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これを「間伐」という。

間伐をしないと、どうなってしまうか?

ご察しの通りヒョロヒョロの林
所謂「線香林」になる。

(↓典型的な線香林)

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この線香林、デメリットが多く、以下のような点で問題がある。

  • ヒョロヒョロなので材木としての価値がない。
  • 密集して生えすぎているので地面に光が当たらず背の低い植物が育たない。
  • ヒョロヒョロすぎるので光合成できる力が頭打ち。
    (間伐した方が地球温暖化にも良い)
  • 根がしっかり育たないので水を蓄積できない。
  • 根が2m程度しかないため、土を固められず、むしろ自重を支えきれず崩落。

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まとめると線香林は
「大雨があった際に自重を支えきらずに崩落し、土砂崩れを起こす存在」なのだ。

そして今回、被災にあった広島等は線香林の割合が多い。

つまり、大雨で土砂崩れが起きるのは木が多すぎるのが原因。


3:林業の衰退とその原因

ではなぜ、ちゃんと間伐をして線香林になる事を防がないのか。

答えは「人手が足りないから」

林業に携わる人々の数はここ3~40年で70%近く減少という厳しい現実。
しかも平均年齢は50歳を超え、65歳以上の就業者の割合も30%に迫るほど高齢化が進展している。

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なんで減ってるかというと「ぶっちゃけ儲からないから」

30~50年もかけて育てた木一本あたりの価格はだいたい1万円~3万円くらい。
間伐した木はコレ以下で数百円~数千円で売られる場合も。

これじゃ赤字である。

しかも映画「WOOD JOB」を見る限り、仕事はキツそう。
(肉体労働の上、ヒル・ダニ・花粉症と闘っている)

これで人増えるわけないわな。

なんで日本の林業はこんな酷い状況になっているのか。
人件費がもっと高い欧州とかは全然成り立っているのに。

答えは「過去の成功体験を忘れられないから」

高度経済成長期の時は住宅需要等で切れば切るほど儲かった。
その時の過去の成功体験を忘れられずに改革を放置。

雇用形態や人事管理などが100年前からほとんど変わっておらず
そのため日本の林業の生産性は欧州の10分の1以下という典型的なクソ産業である。

どっかで聞いた話ですね。

business.nikkeibp.co.jp


4:まとめ

政府もこの事態はアカンと思っていて

林業を復活させる

地方の雇用が生まれる

地方創生やー!

東京一極集中解消!

という壮大な計画を10年前から立てている。
計画が上手くいってるかは…ご察し下さい。

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今までの流れをまとめるとこういう事

  1. 大雨で土砂崩れが起きるのはヒョロヒョロの木が多すぎるから。
  2. ヒョロヒョロの木が多いのは密集して植林した後に間伐(間引き)しなかったから。

  3. 間伐できないのは林業自体が衰退して人がいないから。

  4. 林業の衰退したは生産性を向上させないので海外に負けたから。

  5. 生産性があがらないのは儲かってないので思い切って投資ができないから。
    (儲かってた時代に投資しなかった)
  6. 儲からないのはヒョロヒョロの木が多いから。

  7. 1に戻る(以下ループ。)

うーん。これどうするんすかね。

というか林業以外もこんな感じだよね。日本の産業。

 

近隣だとロシアにも押されているらしいので
ロシアから何か学べば…。

ロシアもあんだけ広大な土地から
どうやって大量に木を切って運んでいるのか

きっと大きな木を簡単に切ることが出来る道具が…。

 

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ニューズウィーク日本版特別編集 丸ごと1冊 プーチン 「最恐」独裁者の素顔とロシア復活の野望 (メディアハウスムック)